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オール電化とガス併用はどちらの電気代がお得?仕組みとメリット・デメリットを解説
【クラシアン】オール電化とガス併用では、どちらがお得なのでしょう。オール電化は光熱費が節約でき家計や環境にやさしい、シニア家庭でも安心、というイメージが。一方で、ガス併用の方がお得かも?という声も。オール電化の仕組みとメリット・デメリットを解説します。
目次
オール電化の仕組み
お風呂やキッチンでの給湯には、都市ガスやプロパンガスが使用されるのが一般的。暖房にもガスを使用していたり、給湯に石油を使用していたりする家庭もあるでしょう。
それに対し、オール電化住宅は家庭で使用するエネルギーのすべてを電気でまかないます。
そのため給湯器はガス式や石油ボイラーではなく、電気でお湯を沸かすエコキュートが主流。キッチンでの料理にはガスコンロではなくIHクッキングヒーターを、暖房にはエアコンや蓄熱式ヒーター、ヒートポンプ式床暖房を使用します。
オール電化のメリット
家庭内のすべてのエネルギーが電気になると、一体どんなメリットがあるのでしょうか。
ガス漏れや火災が起こりにくい
家庭において最も重要なポイントである「安全であること」が、オール電化での大きなメリットです。ガスが引かれていないため漏れる・爆発する心配がなく、不完全燃焼による一酸化炭素中毒のリスクがなくなります。また、裸火を使用しないため移り火事故などの危険もありません。
ガスコンロの青い炎はシニアには見えにくいと言われており、シニアや小さな子どもがいるファミリーには特に安心です。
光熱費が安くなるケースがある
電気とガスを併用すると両方の基本料金がかかりますが、オール電化なら電気のみ。家族構成やライフスタイルによっては、電力会社が用意するプランを上手に使うことで大幅に光熱費を抑えることも可能です。
災害時に復旧が早い可能性
地震や台風などの自然災害でライフラインがストップした場合、電気の復旧は都市ガスよりも早い傾向にあります。2016年4月に発生した熊本地震などの例を見ても、例え送電線の鉄塔が損壊したエリアでさえ、高圧発電機車による応急配電で比較的早期に停電が解消しています。
一方、都市ガスは安全確認に時間がかかるため、容易に供給を再開できません。ただし、ボンベが各家庭に設置されているプロパンガスは、災害時に自動遮断されても容易に点検できるため早く復旧させることができます。
非常用水として使える
エコキュートや電気温水器には貯水タンクがありますので、常に水をストックできている状態になります。飲用水には使用できませんが、非常時のトイレや手洗い、入浴に役立てることができます。
※メーカー・機種により使用できない場合もあります。
キッチン周辺のお手入れが楽
IHクッキングヒーターの表面は、ガスコンロのように凹凸がなくフラット。拭くだけで汚れを落としやすいため、掃除が格段に楽になります。
火災保険で割引が適用される場合がある
オール電化住宅であることの証明書類を提出することで、割引になる火災保険があります。
例えばセコム損保であれば最大24%も割引になりますが、石油ストーブなどを使用する場合は対象外。SBI損保の場合は石油ストーブを使用しても割引が適用されるなど、各社で条件が異なります。
オール電化のデメリット
それでは反対に、家庭内のすべてのエネルギーが電気しかなくなった場合、不都合はあるのでしょうか。
停電するとすべてがストップする
災害などで停電した際も、電源が要らないガス機器があれば調理したりお湯を沸かしたりできます。石油ストーブがあれば冬場に暖を取ることも可能です。オール電化では、有事の際の食事や保温などに独自の備えを考えておく必要があります。
導入に初期費用がかかる
エコキュートやIHクッキングヒーターは大きな初期費用がかかります。また、新築でオール電化住宅を建てる場合、後からガスを引こうとするとかなり大規模な改修工事になってしまうので、長期的に見て光熱費を節約できるかをしっかり検討する必要があります。
光熱費が節約できないケースもある
家族構成やライフスタイルのほか、ガス会社の料金プランや価格設定にも影響を受けるため、光熱費が安くなるとは一概には言えません。また、電気料金はエネルギーバランスや世界情勢などにも影響を受けるため、今後上昇していく可能性もあります。
オール電化住宅を検討する際は、オール電化にするかどうかだけではなく、再生可能エネルギーを取り入れた新電力会社を検討するなど「どの電力会社を選ぶか」というのもポイントになります。
調理器具に制限がある
手持ちの調理器具がIHクッキングヒーターに対応していない場合は、買い替えが必要になります。
直火調理ができないため、電気を通さない土鍋のような調理器具は基本的に使用できません。強い火力を必要とする中華鍋も不向きです。直火料理や鍋にこだわりがある場合は、不満を感じてしまうかもしれません。
エコキュートは設置場所を選ぶ
給湯器としてエコキュートを設置する場合、総重量と大きさから設置場所を検討する必要があります。
また、わずかな機械音や低周波音が発生すること、周囲が静かな夜間に動作することから、騒音問題に発展してしまう場合があります。自宅だけでなく近隣住宅の寝室や窓の近くは避けて設置する必要があります。
エコキュートの交換や設置にかかる費用はいくらくらい? | 【クラシアンの給湯器 販売・取付】
オール電化とガス併用の電気代の比較
オール電化とガス併用とでは、電気代や光熱費の総額がどのように変わるのでしょうか。まずはそれぞれにかかる基本料金を比較してみましょう。
オール電化とガス併用の基本料金
オール電化の場合、必要となる基本料金は電気のみ。ガス併用の場合、電気とガスそれぞれの基本料金がかかります。
●オール電化の場合の電気基本料
東京電力エナジーパートナーのオール電化向けプラン「スマートライフS」を60Aで契約
→ 1,716円00銭/月
●ガス併用の場合の電気基本料
東京電力エナジーパートナーの「従量電灯B」を40Aで契約
→ 1,144円00銭/月
●LPガス併用の電気基本料
東京都のLPガスの基本料金平均値(石油情報センターより/2022年2月現在)は1,773円。電気の基本料が1,144円00銭なので
→ 1,773円+1,144円=2,917円/月
●都市ガス併用の電気基本料
標準家庭の1ヶ月の平均使用量30m3(東京ガスより)の場合、東京地区の基本料金は1,056円00銭。電気の基本料1,144円00銭を加えると
→ 1,056円00銭+1,144円=2,200円00銭/月
オール電化とガス併用の使用料金
ガスの使用単位を電気に合わせ、同じ熱エネルギーを使用する際にコストがいくらかかるかを計算します。1kWh=860kcal、LPガスの熱量を24,000kcal/m3(1kw=約0.036m3)、都市ガスの発熱量を11,000kcal/m3(1kw=約0.078m3)として算出します。
電気(オール電化) | 日中(朝6時〜翌午前1時) | 25円80銭/1kWh |
---|---|---|
夜間(午前1時〜朝1時) | 17円78銭/1kWh | |
電気(ガス併用) | 120kWhをこえ300kWhまで | 26円48銭/1kWh |
上記超過 | 30円57銭/1kWh | |
ガス | LPガス | 24円49銭/1kWh |
都市ガス | 12円36銭/1kWh | |
1kWhあたりのエネルギーコストは、都市ガスがもっとも安く設定されています。しかしガス併用の場合は基本料金がダブルでかかること、家族の人数や電気の使用量によっても単価が変わってくることも考慮して、各家庭のライフスタイルごとに比較する必要があります。
オール電化を使ってみた実感は? 後悔しないためのポイント
オール電化住宅での暮らしの実態はどのようなものなのでしょう。
ポイント:ガス暖房機器は好きですか?
立ち上がりが早く足元がポカポカになることから根強い人気のガスファンヒーター。それを愛用している方は、オール電化になると不満を感じるかもしれません。電気による暖房はガスより暖まるまでに時間がかかり、乾燥やパワー不足を感じることが多くあります。
床暖房があれば問題ないのでは? と思うかもしれませんが、床暖房も電気式よりガス式の方が立ち上がりが早くて最高温度が高く、輻射熱でしっかりと暖まります。
一方で、オール電化であればガスファンヒーターのように換気する必要はありません。真冬の寒い時や花粉が飛散する時期に窓を開けずに済むというメリットもあります。
ポイント:浴室暖房乾燥機の主な利用目的は?
床暖房と同様に、浴室暖房乾燥機にも電気式とガス式があります。ガス式の浴室暖房乾燥機は風量が強く、洗濯物の乾燥時間は電気式の約半分。一方で電気式は、微風での温風で浴室を暖めることができます。
暖房をメインに利用するなら問題ありませんが、頻繁に浴室で洗濯物を乾かすなら、ガス式の方が使い勝手が良さそうです。
ポイント:昼間の電気・お湯の使用量は多くない?
オール電化にする場合、夜間の電気使用料が安い料金プランで契約するのが一般的。しかしそういったプランは、反対に日中の電気代は割高になります。在宅勤務や専業主婦の人が日中に電気を使用している家庭では、オール電化で電気代を節約するのは難しいでしょう。また、エコキュートのお湯が足りなくなると、日中の割高な電気代でお湯を追加して沸かすことになるため、朝風呂の習慣がある人も注意が必要です。
特に気をつけたいのが、今は夫婦二人だけの暮らしでも、今後子どもが生まれる・両親と同居するというように家族構成や暮らし方に変化が生じる可能性がある場合。後からガスを引き込むのは容易ではありませんので、あらかじめ慎重に検討しましょう。
ポイント:太陽光発電&高断熱のZEH(ゼッチ)住宅も検討してみる
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、使用するエネルギーを太陽光発電で創出し、家庭内の電力をまかなう高断熱性能の住宅で、エネルギー収支が概ねゼロとなる住宅のこと。
創出して余った電気は売ることができるため、太陽の光を使って収入を得ることも可能です。新築や大幅リフォームでオール電化を検討しているなら、国が補助金を用意しているZEHも選択肢に含めてみてはいかがでしょうか。
結局お得なのはオール電化? ガス併用?
オール電化とガス併用、どちらが最終的にお得なのかは、各ご家庭の現在と未来の生活スタイルにより違いがありそうです。さらに、お金だけでは割り切れないメリット・デメリットがあるのも事実。コストだけにとらわれずに比較検討するのが良さそうです。
《オール電化のポイントまとめ》
- 火災・一酸化炭素中毒などのリスクを考えるとオール電化が安心
- 日中の電気・お湯使用が少なければオール電化がお得
- 災害時の復旧は都市ガスより早いが、停電への備えが必要
- 料理や調理器具にこだわりがある場合は不満を感じる可能性あり
- 暖房の立ち上がりスピードやパワーはガスに比べると弱い
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